School Daysのアニメが終わったようなので原作の話のおさらい
アニメはまだ見ていない。
以前書いた原作についての記事の要旨は、「School Daysはツッコミ不在のボケ倒しコメディである」という話だった。
それが高橋直樹さんの言う「スクイズはインモラルじゃなくてアンモラル」という話に繋がるのかというと普通に繋がる。
インモラルというのは、モラル・規範に「逆らう」行為であって、インモラルな作品においてはモラルの側からのツッコミの視点が内在化されていることが必要不可欠である。
例えば、「近親相姦やっちゃいけないけど妹可愛いからヤっちゃう!」というインモラルな作品であれば、「実の妹と関係を持つ罪悪感」であるとか、「第三者からの白眼視」といった形で、必ずツッコミの視点が担保されている。
ところがスクイズにはこれがない。誠はロクに罪悪感を見せない(テキスト仕立てに比べて内心が描写されにくいアニメ作品であることの影響は間違いなくあるだろう)。裏切られた女の子からの非難は、道徳的にどうこうというより、単に嫉妬として描かれている。ツッコミは、プレイヤー・視聴者が自分で入れるしかない。
あえて言うなら刹那がツッコミのポジションなのだが、明確にツッコミ=モラリストとしての言動を取ることは基本的にないし、刹那自身グダグダな恋愛状況に参加してボケの一翼を担ってしまうことすらある。スクイズ唯一の良心である刹那がボケに回った瞬間の世界観の崩壊っぷりは印象深い。
だから、高橋さんも指摘する通り、誠の節操のなさに真面目に憤るのはくだらない。誠がモラルに従っていないのではなくて、そもそもこの作品にモラルが存在しないのだから。その点、「浮気イクナイ!」という規範が明確に存在する『君が望む永遠』とは根本的に異なる。
誠のアンモラルを非難するのであれば、人の男だろうが平気で寝るヒロインたちも非難しなければ辻褄が合わない。そしてそうするよりは、このグダグダの状況を指差して笑うほうが健全な鑑賞態度であるし、壮絶な爆死でボケ倒しコントにオチつけてくれる誠先生には尊敬の眼差しが向けられてしかるべきであろう。