ボーイズヒロインとオカマちゃんと女装子の違いを考えていて、俺女装子で抜けるだろうかという実験をしてみようと思った。のでとりあえず体験版やってみた。
したら意外な副産物。主人公が人格者。しかも喧嘩が強くて、25歳。(25歳で赴任2年目ということは留年しているのか?)大人だ。一個の成熟した男性という感じがする。
エロゲーの主人公にこのような適度に成熟した男性が配されることは珍しい。人格的に未熟なキャラクターが好まれるというよりは、あまり明確な行動指針を持つ人物はプレイヤーの投影として適切でないということなのだろうが、ではこのような人格の持ち主はいかにして許容されるのか。
通常の恋愛ゲームにおいて(本作が恋愛ゲームでない可能性はある)、ヒロインは「主人公に設定されているキャラクター」を好きになるのではない。「主人公」を好きになる。そこに人物評価が大きな比重を持って絡むことは少ない。むしろ「なぜ好きになったのか」の理由として強調されるのは行動評価である。「こういう人だから」ではなく「こうしてくれたから」という理由であることが多い。これは、ひとつにはヒロインの愛を得るまでのゲーム上のチャレンジが「行動選択」によって行われているためであり[1]、あるいは「俺もあの娘と仲良くなれるかも」というプレイヤーの期待感情を喚起するためである。
この作品もまた「行動選択」によって進行するが、「俺もあの子と仲良くなれるかも」という期待感情を重視する必要性は薄い。プレイヤーの大半はストレートの男性か、腐女子であろう。ゆえに、より「人物評価」に重心を置くことができる。
そう考えると主人公にこのような人物を配した効用についても整理できてくる。ヒロイン(?)の主人公への好意の理由付けとして人物評価を重視することで、つまり「兄様/ユウ兄/先生/お兄ちゃんはこういう人だから好きなんだ」という描写をすることで、人間的交流とかいう按配のモノを描くことに成功している。
本作では物語の本道にあまり関係のない、通常の学校生活的シーン……要するに界と爽真がケンカする場面がしつこいほどに延々と挿入されるのだが、これになんかミョーな魅力があるのはそういうことで、あれは交流なのだ。主人公を介してのヒロイン同士の交流をも描いているのがなかなかエロゲー的に美しい。界・爽真・玲のコミュニケーション不全気味のキャラ設定からもそういう意味は透けて見える。このあたり、普通のエロゲーにも応用できそうな気がする。
準の何が画期的だったかって、オカマちゃんだよね。
ほんといまさらだけど。
従来の男の子ヒロインは基本的にロリだった。 [2]
それはつまり性的に未分化であることを意味する。
概ね性自認はニュートラル、あるいは女性というのが暗黙のルールだったのではないか。
顔のない月なんかは練り餡だけに完全にBLの系列だけど。
Sultanはどうだろう。やってみないとわからないが、あれは衆道なような気がする。恐らくはそれゆえにクッション[3]を必要とした。
某ティンコベルは、性別を偽っていたのもそうだが、そこを破ったゆえに叩かれたのだろうか。
ういんどみるは、メーカーの方針としてユーザーに不快感を与える可能性は排除したい、ゆえに準えてぃは原則的にナシという話だった。
準えてぃを望むファンは多かったが、ひょっとしたらひとつ見落としていたのではないか。
すなわち、準の性自認が男性であるということを。
準は男の子の気持ちも女の子の気持ちもわかる、という。
準は男性としての性自認を持ちながら、乙女心を具えたキャラクターだったのではないか。
つまり、オカマちゃんである。そういう印象を受ける。
性自認が男性であるゆえに、準の女性的なアピールにはやらしさがない。準とセックスしたければBLになるしかない。
女性的にアピールするほどにやらしくなくなるという逆説によって、どみるがごときごく健全な作風において準というキャラクターは成立しえた。
うーん、これはちょっと一般化はできない見解だな。準を女の子だと思うか男の子だと思うかによって準というキャラクターの受け取り方はずいぶん変わってくるだろう。そして俺は男の子派なのだな。
準の女性性というのは何かということを考えるわけですよ。
男の子の気持ちもわかる、という準の性自認はやはり男性なのだと思う。では、準がわかるという女の子の気持ちというのはなんなのか。それは「乙女心」だろう。つまり、準の女性性とは「乙女」なのだろう。
準が「乙女」と呼ぶ何かは普通の女の子も持ち合わせているはずだ。しかし、準には「女」がない。「乙女」だけを持っているというのが準の特異性で、その「乙女」としての純粋さが準をして女の子よりも女の子らしい存在にしている。内面が外見に形象されるエロゲー世界において準の外見が完全に女の子なのはむしろ当然といえるかもしれない。上記『Cloth×Close』のヒロインは男性の骨格を持っている感じで描かれているが、それは恐らく彼らが女装子だからだ。女性よりも高い乙女純度を持つオカマちゃんの視覚的表現として準のキャラデザは適切なように思える。いや、単にこーちゃが描き分けられないだけかもしんないけど。
で、外見が女の子なのはいいとして、チンコだけは譲れない。準にチンコがなかったら「女」になってしまい、それはむしろ乙女純度を下げることになる。準の魅力を保つためにはチンコは絶対必須だと考える次第である。
- [1]主人公の人物像・パラメータを改変しうる『同級生』系作品における描写がいかなるものかは興味深い。
- [2]性転換系を除く
- [3]ピアナのこと。