第一話。ヒロイン清美が月下の川遊びをするシーンがあります。
このシーンこそがこの作品の基本であり、全てと言っても過言ではないでしょう。
田舎の村の強烈に匂い立つ夏。人々の結び付き。家族。青臭い青春。ビール。ヤマメ。サワガニ。この作品にはありとあらゆる「
それら「好いモノ」の最たるものは、言うまでもなく川上清美です。とっつきにくい優等生が、ひとたび学校を出るや我が物顔で清流を闊歩し、びしょ濡れになりながら川魚を捕るのです。自由闊達・天衣無縫で自然に通じ、ちょっぴり素直じゃないところもあって、セクシーでナイスバディな清美は、「ボク」こと加藤くんの憧れであり、かつ全ての「好いモノ」の案内人でもあります。彼女は「好いモノ」を見付け出し、それを誰より楽しむことができるのです。加藤くんやかつみのような「普通の人」が清美に惹かれるのは、彼女自身の魅力もさることながら、彼女が視ているモノも含めてのことなのでしょう。
川も海も、清美が「ボク」を引きずり回して見せ付ける「好いモノ」たちは、実は最初からそこにあったものです。だからそれは発見というよりも気付き、思い出しというべきでしょう。そのことは二人の立場が逆転したときにも当てはまります。幸せの青い鳥は最初から家に居たわけです。そう簡単に気付けるものでもないのだけどね。だとしたら、それは実はとても貴重なものかもしれない。
青い鳥の居場所は、教えてもらって気付くこともあれば、探し続けて行き着くこともあるでしょう。1巻が前者を描いたものだとしたら、2巻は後者に焦点を移した構成だといえるでしょう。加藤くんと健さんの問答が実に、非常ぉーに面白い。加藤パパは青い鳥を捕まえた人なんですね。そらカッコいいわ。当たり前だ。そして、加藤くんもそうしなければいけない人なんだ。
ラストには納得いかん向きも多々ありましょうが、そう考えると理解もできるのではないでしょうか。最終的にどういう形が収まりがいいのかは分かりませんが、まあやっぱり基本は「自分の家」かねえ。