puncTure

Dopamine Software

 製作のDopamine Softwareは、CLOCKUPの『けがれた英雄』『ECLIPSE』に関わった文章のゴードン氏と絵の刑氏が中心のサークルです。CLOCKUPといえばハードな陵辱シーンで名を馳せるガチンコ系メーカー。最新作『プレゼンス』ではちょっと反省したかな?と思いきやちっとも反省してなかった筋金入りです。
 しかし、それですら彼らには生温かったらしく。

 「史上稀に見る美少女「拷問」シミュレーション」と銘打つこの作品、いわゆる調教ゲームとは似て非なるものです。プレイヤーの目的は、少女を従わせることでも性的開発を施すことでもなく、ただただその身に苦痛を、恐怖を、嫌悪を与えること。そして、彼女から憎しみを受けることなのです。
 それは彼女の持つ特異な能力に理由があります。それは、「愛するもの全てに死をもたらす」能力。そして彼女の博愛と、能力への嫌悪によって、あらゆる生物は有限の存在となり、自身は不死であり続けた。
 これはもう完璧な設定勝ちといえるでしょう。ジャケット裏の解説読んだ瞬間に購入決定inコミケ65。

 では、問題の拷問シーンはどうなのかというと……壮絶。その一言。なにしろ目的からして相手に遠慮することはないし、その上拷問対象は不死身ときている。結果、常人の想像力を遥かに超える狂気の拷問劇が繰り広げられるわけで。感じさせようという思考すら完全に放棄した拷問シーンは、オカズとしての使用に難のあるレベルです。僕も使えるシーン2・3しかないですし。(あんのか)僕が平生、メディア問わずこの手の作品に触れていないせいかもしれませんが、回想のほとんどが「ありえねぇ」という感想しか出ない凄まじさです。なにしろ1周目は毎回吐きそうになってましたし。マジで。肛門からワイン流し込んで腹膜破裂とか、思いついてもやんねぇだろ普通。美麗な絵に騙されて購入して飛び出る内臓見せられちまった日にゃ後悔してもしきれまい。ホンマモンだ。この人らホンマモンだ。ヒロインのサキが滅茶苦茶かわいいだけに、(本当に、立ち絵だけでときめく。)妙な興奮があるのも、我ながらあんまりにもあんまりで認めたくないけれど確かなんですが、できればこの娘とは別の作品で出会いたかったよ…。

 そんなわけで、拷問に関しては満足というかお腹いっぱいというか、とにかく想像以上のダメージを受けられたんですが、シナリオに関してはやや不満が残ります。
 この作品のキモが「嫌われるための拷問」であるという点であることは、まず間違いないと思われます。拷問シーンに関してはそれを見事に活かしているんですが、シナリオではこの設定が活きていない。本来、この作品における「嫌われるための拷問」という不毛極まる行為の正当性は、少女自身が望んでおり、かつそれによって万物が死から解き放たれるという点に拠るはずです。それを主人公の快楽のために行ってしまっては、物語の構造上そこらの陵辱ゲーと大して変わらなくなってしまうんです。この主人公の思考停止状態のせいで、エレナの葛藤やら上の思惑やらのおいしい要素が死んでしまっているように感じられます。

 ……まあ、ここまで言ったらさすがに望みすぎでしょうか。しかし、設定が実に斬新だっただけにもったいない感じです。もうちょっと突っ込んで書いて欲しかったなぁ。


グラフィック:A

 商業作品と比較しても、原画・彩色ともトップレベル。まあプロだしね。特に彩色は、原画を壊さないという点にかけてはもはや偉大。悲遇の美少女サキはシャレにならんくらいかわいいです。パッシェン公との生活は想像するだに萌える。んでもって、拷問描写もけっこうスゴい。勘弁。システムグラフィックもなかなかで、文句なし。

音楽:C

 可もなく、不可もなく。決して悪くはないですが。

システム:C

 フリーウェア・吉里吉里使用。しかし、それにしてもやや弱っちい。スキップがEnter押しっ放しというのはやや使いづらいです。あと、拷問選択のときに埋まってない回想を確認したい場合、「最初に戻る」が実装されてないのが面倒。バックログ等は使いやすいです。

実用性:C

 グロテスク耐性によって上下。僕はこんなもんです。

ボイス:なし

 まあ、そりゃないでしょうが…。サキの声が欲しいなぁ。絶叫。

キャラ萌え:B

 サキちゃんがかわいいゆえに。(しつこい)単体で見たらよくあるけなげ系なんですが、これだけ魅力的に映るのは設定の妙ですな。

シナリオ:B

 ストーリーテリングもテキストセンスも並ですが、狂気のサドプレイは一見の価値あり。よくもまあこんなん思い付くもんだ。だって、拷問メニューに鞭がないんだからね。ちなみに、お勧め(回避指定)はフラスコ1回目。


レビュー

インデックス