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Diary/2007-02-13

[エロゲー]義妹ブームを強制終了した『D.C.』という怪作(前編)

 妹属性というのがエロゲーにおいて非常に流行った時期がある。これが終わった時期を決めるのは難しいが、始まった時期に関しては『With You 〜みつめていたい〜』をその端緒とする説が一般的であると認識している。

実妹と義妹

 『With You』において、サブキャラにも関わらず断トツの人気を誇ったのが主人公の実妹である伊藤乃絵美だった。 乃絵美はいわゆる救済ヒロイン(攻略失敗した際の救済措置的なEDで登場するヒロイン)であった。これは「他の女はさておいても、妹だけは俺を見捨てない」という、妹キャラに求められる基本的役割に見事に合致している。乃絵美の人気には、この配役の妙が(偶発的にしろ)作用していたと思われる。
 一方で、この実妹設定のゆえに専用ルートもエロシーンも存在しえず、悶々としたファンも多かったという。

 乃絵美の人気によって下地の作られていた妹キャラ需要に積極的に答えるべく導入されたのが、義妹設定である。血が繋がってなければエッチしてもOKという理屈で、妹キャラを攻略対象ヒロインとして採用することが可能になった。

 ここで改めて、エロゲーにおける妹キャラの魅力を考えてみると、以下のようなものが考えられる。

  1. 血縁者と性行為に及ぶ背徳感
  2. 年頃の女性と同居しているというシチュエーション
  3. 恋愛に拠らない関係性ゆえの安心感
  4. ゲーム以前のエピソードの蓄積=思い出

 このうち1については、血縁関係がなくなることで大部分がスポイルされる。よって、義妹キャラには2〜4の要素が強く求められることになる。自然、父母の再婚等による縁戚関係に加えて、長期に渡る同居状態が多く設定された。

義妹と偽妹

 義妹設定の導入によって妹ブームは大きく広がったのだが、義妹キャラが粗製濫造される中でその意味合いも徐々に変化していった。妹キャラの役割を「最初から主人公に好意を抱いているヒロイン」といったように単純化して捉える作品が増えていったのである。
 このような妹像を完全に成立させたのは『Sister Princess』だろう。以下、基本的に原作及び原作に準拠するゲーム版1・2について言及する。まず、主人公と妹たちは過去も現在も同居していない。また、ゲーム版血縁ルートにおいてのみ血縁関係が明示されるものの、同居もしておらず両親も登場しないため(そもそも12人もいるし)縁戚関係の意識は極めて薄い。いわゆる海外組に至っては過去における主人公との関わりが皆無である。一方で、12人全員が「お兄ちゃん大好き!」であり、恋愛(的)関係になることが可能とされている。

 このような「縁戚関係」も「同居状態」も重要視されない妹像は、実のところ妹である必要がほとんどない。
 それを明確に示していたのが『みずいろ』である。この作品においては幼なじみの日和と義妹の雪希が2大ヒロイン的な扱いを受けているが、いずれのシナリオにおいても強調されるのは「思い出」であり、実のところ役割においては大差がない。主人公と同居している雪希が食事等の世話をしているのが唯一違いらしい違いだが、物語上重要とは言えない設定であるし、本来エロゲー的に重要なはずの「年頃の女性と同居している」状況については全く強調されない。
 当時、いわゆる萌えゲー・シナリオゲーでは、妹キャラはいて当然という状況であった。雪希が支持されたのは、「理想の妹」としてであっただろう。「ふつうのギャルゲーを目指して」という『みずいろ』のコンセプトからしても、「なぜ妹なのか」という問いは一切ない。妹はただ妹であればよく、さしたる特異性は求められなかったのだ。

きゃっと・ふぃすと